グリーフケアを受けたいときにはどうすればいい？ケアの方法も詳しく解説

遺族の深刻な心を理解して回復のサポートをするのがグリーフケアです。大切な人との死別で辛い思いをしているという人は、グリーフケアを受けることをおすすめします。

実際にグリーフケアを受けたいと考えている人も多いのではないでしょうか。そこで今回は、「グリーフケアを受けたいときにはどうすればいいのか」「グリーフケアの対象となるのはどのような人なのか」などについて詳しく解説します。

グリーフケアとは

グリーフケアは、遺族が死別を受け入れ、再び人生を歩むために欠かせないケアです。臨床心理学では「悲嘆カウンセリング」、精神医学では「悲嘆研究」として発達しました。宗教学や哲学では「死生学」として研究されてきています。

いずれにしても、グリーフケアは学術的な根拠に基づいた知識体系であると言っていいでしょう。近年では看護や介護、福祉、葬儀関係の職に就いている人がグリーフケアを学ぶケースも増えています。

なお、グリーフは英語で「死別などによる悲しみ」や「悲痛」などを意味します。身近な人の死別による深い悲しみや傷ついた心は、時間の経過とともに癒えるのが一般的です。

しかし、癒えるまでに時間を要するケースや、辛さのあまりに乗り越えられないことも少なくありません。場合によっては「複雑な悲嘆」という病的な状態に陥ります。

このような気持ちを適切にサポートし、悲しみを乗り越えられるようにサポートするのもグリーフケアです。なお、ペットを亡くした喪失感に苦しんでいる人のサポートもグリーフケアに含まれます。

グリーフケアの対象となる人

グリーフケアによって心の改善が期待できるのは、次のような人になります。

・急病や事故などによる突然の別れ

・大切なパートナーとの別れ

・家族や友人との別れ

・ペットロス

・赤ちゃんの死産

・自分の意思に反した中絶

など

このように、グリーフケアは人生のさまざまな局面に影響を与えます。

近年では、コロナ禍によって大切な人との死別に立ち会えないケースも増えてきました。このような場合には悲しみがより深まることが多いため、グリーフケアで心の解放をすることが重要になります。

ペットロスに対するグリーフケアも増えています。コロナ禍で人間関係が薄れ、ペットが心の拠り所になっている人は、ペットロスによって自分の子供を失うのと同じ悲しみに襲われてしまいます。後悔や感謝といった感情に圧倒されることもあるでしょう。このような感情を整理したいときにも、グリーフケアを利用してみてください。

グリーフケアを受けたいときの方法

グリーフケアを受けたいときの主な方法には、グリーフケアカウンセリング・TMS治療・睡眠外来の3種類があります。

グリーフケアカウンセリング

グリーフケアカウンセリングとは、専門家の相談やアドバイスを受けながら辛い気持ちを解放していく方法です。

大切な人との死別やペットを失ったことによる悲しみや苦痛、不安、怒りなどの感情に寄り添い、立ち直れるようにサポートしてくれます。

「辛い時期に適切な対応をしてくれる相手が欲しい」「気持ちを楽にしたい」というときには、グリーフケアカウンセリングを利用してみましょう。カウンセラーが喪失の悲しみを傾聴して受け止めてくれれば、悲しみの時期を乗り越えられるようになるはずです。

TMS治療

TMS治療とは、磁気を使った治療です。前頭葉にコイルをあてて、磁気による刺激を与えます。コイルに電流を流すと磁場が変動して脳が刺激されるため、血流のバランスが整って脳の機能が調整されるのです。

TMS治療は薬に頼らない方法なので、副作用に不安がある人でも利用できます。薬による治療よりも効果が高く、2019年には保険診療の対象となっています。

ただし、1回の治療で効果があらわれることはありません。一般的には、10回前後の治療から効果があらわれます。治療の頻度は週5回、4～6週連続の刺激法が主流です。

睡眠外来

睡眠外来は、「夜になると死別した人やペットとの感傷に浸って辛い思いをしてしまう」という人に適した方法です。

睡眠前に過度な落ち込みの状態が続くと睡眠が浅くなり、交感神経優位になってさらに眠りにくくなってしまいます。

このような状況を改善するために、薬を使わず睡眠トレーニングを行なって心を整えていきます。睡眠トレーニングの方法は症状によって異なるため、相談をしたうえで適切な対応を探ることになります。

まとめ

大切な人やペットを失った深い悲しみを癒すには、悲しみを認めて受けとめることが重要です。

ひとりで立ち直るのが難しいというときには、グリーフケアを受けて深い悲しみから立ち直るサポートをしてもらうことをおすすめします。グリーフケアを受けたいという人は、気軽に相談してみてください。